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19話 ほめ殺し


「遼子はすごい!」
私が言うと、遼子はため息をついた。
「はいはい、私はすごいです」
この1時間だけで私に何度も言われて、返事も面倒になったらしい。
私はそれにも負けずにほめ殺しを続けた。
「本当に運命の人だったんだよ。だって、同郷だよ。
しかもいきなりの告白。遼子大正解!」
「『あんな人が運命の人なんていや!』って、あんなに騒いでたのに」
「ああ、先週は、ね。でも今日の宗田くんかっこよかったんだよ。
告白シーン再現してあげようか」
「もう何度も見た」
遼子は言い捨てると客のもとへとグラスを持っていった。

結局、付き合うかどうかの返答は、また改めて伝えることになった。
本当は私の中で決まっているけど、
すぐに答えたら「待ってました!」と言っているみたいだから、
ちょっと考えるふりの時間をもらった。
遼子には「変なプライド」とまた冷たく言われたけど。
カウンターに戻ってきた遼子に、私はねだった。
「ねえ、遼子。またタロット占いしてよ」
遼子ははじめ渋ったけど、結局タロットを出してきてくれた。
「だから遼子大好き」と言ったら、遼子はさらに不機嫌になったようだ。
冷たいふりして、実は情に厚いとこ、本当に好きなんだけどね。

私が挑戦しても失敗に終わったタロット占いを、遼子は静かにはじめた。
迷いのない手さばきでシャッフルし、並べていく。
そして一枚一枚、丁寧に裏返していった。

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