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16話 つながり


自分でも、いつもよりビールのペースが速かったと思う。
特に、研修の振り返りも終わって、話題に困りはじめてからは。
一度は運命の人と思った宗田くんと2人で、少しだけ意識していた。
いや、意識というより、気まずさかもしれない。
宗田くんは、そんな私の心の内をまるで知らずに、
メニューを見ながら楽しそうだ。

しばらくして宗田くんがお手洗いへと席をはずした。
私はふと、彼のかばんを見た。もちろん中を覗くつもりは
なかったのだけれど、開いていたから見えてしまった。
内ポケットのチャック部分に、見覚えのあるものがあった。
朱色のお守り。「磐梯山神社」と、金の刺繍で書かれている。
帰ってきた宗田くんも、私の視線に気づいて自分のかばんを覗き込んだ。
「そのお守り」
私が言いかけると、宗田くんは照れたように笑った。
「これ、地元の神社のお守りなんです。上京するとき、母さんが
持っていけって。これ見ると、地元の仲間のこととか、家族のこととか、
思い出して力わいてくるんですよね」
「——私も持ってる」
私がつぶやくと、宗田くんは目を丸くした。
私は子どものころ父親の仕事の関係で転校が多かった。
小学校高学年の3年間、私はこの神社の近くの社宅に住んでいたのだ。
通っていたのは磐梯第三小学校。
「磐梯第三小学校? 僕の母校です」
宗田くんの言葉に、私たちは顔を見合わせた。

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