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11話 苦情


「私、あの人が運命の人なんていやだ」
遼子の店のカウンターで、私は声を張り上げた。
まわりの客が、眉を寄せて振り返る。
日曜の夜、店は休日の最後を楽しむ大人な客が多く、
明らかに私は浮いていた。
それでも遼子に苦情を言わずにはいられない。
遼子が占った「運命の人」のせいで、この週末は仕事漬けだった。
その「運命の人」宗田くんは、大口をたたいて自分ではなにもしない。
「ねえ、あんな男が運命の人なんていやだよ、遼子。もう一回占ってよ」
私が口を尖らせると、カウンターの中で遼子がため息をつく。
「いやなら、占いなんて信じなきゃいいじゃん」
「それは……」私は言葉に詰まった。
占いを完璧に信じてしまうのが私の悪い癖。
「占いを信じているから大丈夫」と思わないと、
なんだか不安で落ち着かないのだ。

「あ」と私が声を上げると、遼子も眉をひそめて顔を上げた。
「そうか、きっとほかに、昨日出会うべき運命の人がいたんだ。
でも私は、あの無責任男が運命の人だと思い込んだせいで、
その本当の運命の人と出会えなかったのかも」
——そう思うと、ますます宗田恭平が憎い。
「遼子、お願い、もう一回占って! 本当の、運命の人」
私は粘ったが、遼子は機嫌を損ねたのか首を横に振るばかりだった。

占い貧乏でプロの占い師のところには、当分行けそうもない。
仕方なく帰り道、本屋で「タロット入門」という本と、
タロットカードを買った。

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