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10話 尻拭い


結局、ほぼ宗田くんへのレクチャーだけで終業の5時が迫っていた。
残業は覚悟していたから仕方がない。誕生日だけど……。
でも宗田くんと2人ならまだいいか、と自分に言い聞かせた。

すると、課長が私たちの使っていたミーティングルームに顔を出した。
「朝倉さんは、今日は残業かな」
「はい」と返事しながら、違和感を覚える。朝倉さん、は?
「宗田くんはまだ研修中で、残業は認められないから。
早く帰る支度してタイムカード押しなさい」
私は唖然とした。
そうだった。研修中は、残業も、もちろん休日出勤も、
仕事の持ち帰りすら許されていない。
「じゃあ、とりあえず、今日はここまでで……」
「清美さん、ありがとうございました!」
宗田くんが笑顔で部屋を去っていく。
この仕事、全部、ひとりでやらなくちゃいけないんだ……。

部屋の外は、課の仲間が宗田くんの歓迎会に行こうと盛り上がってる。
宗田くんも「うれしいっす」と輪の中心にいた。
腹が立つ。なんで私があんなお調子者で口ばっかりで、無責任な男の
尻拭いしなきゃいけないの? 
って、今日は私の誕生日を祝おうって話はどこへいったの?
ま、はじめから断るつもりだったけどさっ。

怒りを押し殺しながら、ひとつだけ確信していることがあった。
あいつはゼーッタイ、私の運命の人ではない。

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