お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

7話 両思い切符


駅の改札を出て、ふと見ると宗田くんの姿がない。
確かに、電車は一緒に降りたはずだった。しかし多くの人が改札へ
向かう狭い階段を目指したので、混み合って見失ってしまったようだ。
だからって改札はひとつ。迷うことはないと思うのだが、
ほぼ同じ電車に乗っていた人の流れが切れても、宗田くんは来ない。

ようやく、駅員に頭を下げながら、
改札を抜けてくる宗田くんの姿が見えた。
切符でもなくしたかな? 走ってくる宗田くんを見ながら思っていた。
すると、宗田くんが私になにかを差し出た。見ると、電車の切符だった。
「すいません、これもらおうとしたら、時間かかっちゃって」
宗田くんは笑顔だ。私が「どうして?」という顔で彼を見ると、
宗田くんは切符の端を指差した。
「3843、両思い切符」
「あ」と私は声を上げた。
小学生のころ、番号の右端と左端が同じ数字の切符を「両思い切符」と
呼んでいた。それを持っていると、恋のお守りになると聞いて。
私は両親や同じ社宅の仲のよい家族にまで頼み、その切符を集めていた。

「すいません、いらないですよね、こんな幼稚なの。なんか、清美さん
に誕生日プレゼントとしてあげられるものないかな、と思って」
立ち尽くしたままの私に、宗田くんは恥ずかしそうに頭をかいた。
「ううん、すごくうれしい」
私は宗田くんの手から切符を受け取った。
子どものころ集めていたものを、運命の人と出会った当日に、
本人からもらうなんて。これは、運命以外のなにものでもない!
神様、遼子さま、ありがとう。

お役立ち情報[PR]