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1話 ふたご座のあなた


冬のコーヒーを飲みながら、テレビをつけた。いつもと変わらない朝。
テレビはちょうど、星座占いがはじまったところだった。
私は6月5日生まれのふたご座だ。それなのに10位から6位にも、
画面が変わって5位から2位にも出てこない。急に心臓が高鳴りだした。
カップを握り締め、私は画面を祈るように凝視した。
「今日のビリは、ごめんなさい! ふたご座のあなた」
えっ。カップを乱暴において、頭を抱えた。昨日も11位で、
ランチのときに店員にケチャップソースをこぼされ散々だった。
まったく、今日はあれ以上ひどい日ってこと?
いや、こうしていられない。
私はあわてて「今日のラッキーアイテム」を手帳にメモした。

お昼すぎ。今日は珍しく次の営業先へ行くまで時間があいたので、
一度会社に帰って、食堂で昼ごはんを食べることにした。
カウンターの列に並ぶと、同じ課の1年後輩のあきちゃんが、
私の後ろにぴょこんとついた。
「清美さん、明日誕生日ですよね。6月5日」
私がうなずくと、清美はにっこりと笑顔になった。
「課長が夜、お祝いしようかって言ってるんです。清美さん、今月も
間違いなく営業トップでしょ。その慰労会も兼ねて。ちょうど金曜だし」
あきちゃんになんの悪気もないのはわかってる。
でも、課長もあきちゃんも、「私は誕生日の夜、予定がない」という
前提で話している。ありがたいことだけど、失礼でしょ?
ま、実際ないんだけどさ。

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