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タイムカプセル-1

ベッドから起き上がると、枕元のキルトジャケットに手を通した。
図書館で司書をしているわたしは、月曜が定休日。

遅く起きた朝は、もう通勤通学の時間も過ぎて、
町にはしんと静かな陽だまりがあふれている。

「でも、やっぱり寒い」

そして石油ファンヒーターに、灯油がないことを思い出す。

以前は登美夫の車で、ガソリンスタンドまで買いに行けたのに。
  別れた今はポリタンクをカートでひき、自分で買いに行くしかない。
わたしはカートにポリタンクをしばりつけ、外に出た。

登美夫はフリーのフォトグラファーだから、時間に融通が効いた。
でも、別れた理由もそのあたりにある。

「オレは稼ぎも少なく不安定だし、期間未定の海外行きも多い。
 ……理和は子ども欲しいんだろ? なら結婚は無理だね」

登美夫のいい分は、よくわかる。その通りだと思う。

フォトグラファーの彼は、生活には困っていなかったが、
将来有望と思われるほどには売れてなかった。

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