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27話 情熱に引きずられて


大田さんの言葉と態度には、熱がこもっていた。
「今回、他部署のみなさんの会話で知ったのですが。
女性どうしで誕生日プレゼントを贈るとき、入浴剤やマッサージソルト、
ボディソープなどバスグッズを選ぶことが多いそうですね。
ところが、シャンプーはプレゼントにしにくい、という。
そこで、プレゼント用シャンプーという発想が生まれたんです。
でも、PRできないようでは、なかなか売れないでしょう。
それでは困るんです。みなさんに、あんなに協力してもらっているのに」
大田さんの誠実そうな声を聞いていると、
私もできる限りの協力をしたいという気になってくる。
こういう人が中心にいると、クロス・ファンクショナルも
うまく機能するんだろうなぁ、と思った。
そして、次回の企画会議には、私も出席する約束をした。

ミーティングでそのことを報告すると、部長は渋い顔をした。
「ただでさえ忙しいのに……。広報には広報の役割があるだろう」
「もちろん、今までどおり、やるべき仕事はきちんとやります」
きっぱり言った私に、大谷さんがまた助け舟を出してくれた。
「おもしろそう。新しいPRのあり方を模索するチャンスかもね。
それに、他部署が協力しているのに、広報だけ非協力的だった
なんて言われたら、部長の立場もなくなりますしね」
そう言われて、部長もOKを出すしかなくなった。
大谷さんはいつもこんな風に、敵を作らずに自分がやりたいことを
実現していく。あのきれいな外資系広報の人も、きっとそう。
私も見習ってはいるけれど、部長にはやっぱりイライラしてしまう。
【登場人物】
一之瀬莉緒(28) 化粧品会社の広報。ニューイヤーのカウントダウンのため、1人NYを訪れ……。
藤木和哉(29) テレビ局のディレクター。NYのカウントダウンで莉緒と知り合う。
古川渉(29) 食品会社の広報。仕事がらみで莉緒と知り合いに。時々食事に行く仲。
奥村千紘(52) バー「ブパサニワット」のオーナー。
大谷美紀恵(33) 莉緒の上司。

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