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37話 トラウマの告白


「耕太郎のこと信用してたはずなのに、疑ったりしてごめん」
今、耕太郎に話しておかなければならない、と思うことがあった。
「いや、もうそれはいいよ。ちゃんと話してなかったのが悪かったんだし」
「ううん。私ね、本当は耕太郎と付き合うまでずっと……男性不信だったの。
その原因はたぶん父親。父は女性にだらしがなくて。
でも、母は子供のためにと言ってそんな父でも別れようとしなくて。
私はそんな母も我慢ならなかった」
耕太郎は、ただ黙って聞いていた。
「私が大学を卒業して一人前になったら、
母も父と別れるんじゃないかって思ってた。でも、現実はもっとひどかったわ。
そのとき父が付き合っていたのはね……私の親友だったの。
昔から家族ぐるみで知り合いの大親友。それを知ってから、
私は男の人がすべて父のように思えて、怖くて仕方がなかったの」

深く息を吐き出して、それから耕太郎が口を開いた。
「そんなトラウマがあったんだ。辛かったよね。よく、今までがんばったね」
耕太郎の言葉に、また大粒の涙がとめどなく流れ落ちる。
「いつか乗り越えられる日がくる。きっとみんな許せる日がくるよ」
その言葉は、心にしみた。
今はまだ、父のやってきたことも、母の態度もまだ許せない。
でも、許せないでいる限り、きっと私はこのトラウマに苦しみ続けるんだろう。
今日、耕太郎に話をして、こぼした涙で、少しでも流してしまえたらいい。

もし、この人とこの先もずっと一緒にいることができたら、
私は変わることができるかもしれない……そんな予感がしていた。


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