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32話 後ろめたさの正体


「栄一からだ……」
メールには、急に帰ったことを心配する内容が書かれていた。
「大丈夫? 真理子は体調悪かったのに、俺ぜんぜん気がつかずにごめん。
何かあったら遠慮なくすぐ電話して。マジで駆けつけるからな!」
調子いいんだから、とは思いつつも、栄一の言葉に慰められている自分がいる。

そう、あのとき、驚きと怒りの感情で、とっさに店に入っていって、
その場で耕太郎と美和に、問い質したい気持ちがなかったわけじゃない。
でも、それとは別に、自分の中にもうひとつ存在した気持ちがあったのだ。
それは、栄一と一緒にいた後ろめたさだった。

別にやましいことがあるわけでもない、ただの同僚と食事に行っただけ。
それでも、耕太郎にも美和にも、今自分が栄一と一緒にいるところを
見られてはいけないというような気持ちが、どこかにあった。
さっきまで栄一と楽しい時間を過ごし、
同僚として少なからず栄一に頼りがいを感じていた自分。
真理子と呼ばれて不覚にもドキッとしてしまった自分を、
逆に見透かされてしまいそうな気がしていたのだ。

次の地下鉄がきたら……もう帰ろう。
そう思って携帯をカバンにしまおうとした瞬間、
また、メールの着信を知らせるランプが光っているのに気づき、見てみる。
……耕太郎からのメールだ……!
「明日の木曜日、真理子のところ行こうと思うけど、予定はどう?」
木曜日は、決まって耕太郎が来る曜日だった。
でもこのところは、忙しいと来ていなかったのに。
このタイミングは、何か話があるということなのだろうか……。


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