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27話 美和の反発心


栄一が葵のフォローをしたようなので、
美和にも声を掛けておこうと思い立ち、もう一度、美和の机の横に移動する。
「ねぇ、美和。さっきのことだけど」
話しかけたのとほぼ同時に、定時のベルが鳴った。
美和は立ち上がり、荷物を片付けはじめる。
「話すことなんてないわ。もう時間だし、習い事もあるから帰る」
いつもは定時に帰ることなどまずないのに! まるで拒絶だ。
私から説教受ける気なんてさらさらないとでも言いたいのだろうか。
「そう、じゃあ次は何かあったら、私も話に入れてね」
せめて、一緒に話し合おうと伝えたかったのだが、美和は一瞥しただけで、
帰り支度をし、さっさとエレベーターホールへと消えて行ってしまった。

まったく美和にはどう接したらいいものか。
気まずい思いのまま席に戻ると、圭子がタイムカードを持って待っていた。
「佐野さん、今日は私より早くご帰宅されましたね」
圭子の気遣いを感じつつも、その機械的な言い方がなんだか可笑しくて、
「そうねー、そうみたい! ハイ、じゃあハンコ押しますね」
と答えながら少し笑うと、圭子はますます真面目な顔で続けた。
「佐野さんは、まだ割り切れていないんだと思います」

どういう意味? と聞きたかったが、そこへ栄一が戻ってきた。
「リーダーちょっと」
栄一に呼ばれ、圭子との話はそれまでになった。


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