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26話 栄一の変化


「ちょっと、泣けばいいってもんじゃないの、わかってるでしょ!?」
相変わらず美和は容赦なく、叱責された葵の方はますます嗚咽が止まらない。
ここはまず美和に落ち着いてもらわないと、と近づこうとした瞬間、
「美和さん、ストップ〜。葵ちゃん泣いちゃってるよ〜」
割り込んだのは栄一だった。

下を向いて肩を震わせたままの葵にも、大丈夫? と声をかける。
「そうやって、すぐ後輩を甘やかすのやめてよ! 本人のためにならないのよ」
今度は栄一に矛先が向けられた美和の剣幕に、
栄一は少しおどけながら返した。
「美和さんが後輩思いなのは、俺もわかってますよ〜。 
俺だって、入社したときは美和さんに助けてもらったし。
美和さん教えるの上手なのに、そんなに怒ったらもったいないですよ〜」
「またそうやって……!」
何か言い返したそうな美和だったが、
栄一の言葉に気勢を削がれたようで、黙って席につき、
これ以上話すことはないというように背を向けた。
美和の席の前に立っていた私も、
逆にそれ以上その場にいるのはためらわれ、自席に戻る。

栄一のフォローで、今回、私はまったく出番なく終わってしまった。
あとは、葵から事情を聞いて……と、見回してみたが、葵がいない。
すでに栄一がカフェテリアに連れ出したようだった。

調整役を、すべて栄一が買ってでてくれたのだ。
圭子とのトラブルがあって、明らかに栄一は変わっていた。


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