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25話 和解と火種


3人で席に戻る途中、栄一が話しかけてきた。
「今回は迷惑かけちゃって、本当にごめん」
「謝らないでよ。結果オーライだもん。むしろ感謝したいくらい」
「これからは、どんどんフォローしていくつもりだから」
心強い言葉。これも今回の騒動があったおかげかな。圭子も気を遣って、
「私も、さっき怒らせてしまった佐野さんに、一言謝っておこうと思います」
と言ってくれた。これできっと圭子も次第にチームに馴染んでくれるだろう。

フロアに戻ると、すぐに美和のところに駆け寄って行った圭子の後姿を
目で追いつつ、自分の席へ戻ろうとすると、
そこに聞こえてきたのは、圭子の声ではなく美和の甲高い声だった。
「あれだけ言っといたのに! こんなミスして許されると思ってるの!?」
いったい圭子が何か!? と思い振り返ると、
相手は圭子ではなく葵のようだった。
圭子は声をかけることもできず、その場に立ち尽くしている。
「美和、どうしたの? 何かトラブルあった?」
事情を聴こうとそばまで行くと、葵は下を向いたまますでに泣き出している。
「どうもこうもないわよ! 私があれだけ薬事法がらみの表記があるから
気をつけてって、マニュアルまで渡したのに、この子ったらミスばっかり!
だから、2年目の新人のお守りなんてたくさんだって言ったのよ」
美和はどうしても、最終的に私の人選に問題があると責めたいらしい。
ひとつ乗り越えたと思ったら、さらにもうひとつトラブルか……。
胃がしくしくと痛みだし、急激に圧し掛かるような疲れを感じた。

こんなときには、早く仕事を済ませて、気分転換がしたい。
でも……このところ耕太郎は忙しくて、もう1カ月以上も会えていない。


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