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19話 踏み込めない領域


思いがけない栄一からの反論に、一瞬たじろいだ。
「……注意って?」
「少しぐらい時間を過ぎても、仕事を中途半端にしない、とか。
せめて引継ぎはわかりやすく口頭でするように、とか」
「彼女は時間で働いてもらっている派遣社員よ。彼女の主張は正しいわ」
その言葉を聞くと、栄一はしばし黙り込み、
「そういうことじゃないんだけどなぁー」
と言葉を残して背を向け、部署に戻っていってしまった。
最悪だ……フォローしたつもりが、ますますこじれてしまった。

栄一が戻ってからしばらくして自分の席に戻ると、
奥の席、栄一と圭子の机のあたりが妙に騒がしい。
「だから、その言い方に問題があるって言ってるの!」
なぜか聞こえてくるのは、美和の声。

美和とチームを組む葵が、不安げに寄ってきて話し出した。
「梶原さんが、木戸さんに引継ぎの件で話をしたんです。
そうしたら、木戸さんが、私の方に非があるということですか? って、
梶原さんに聞き返したものだから……そしたら、突然美和さんが」
葵の説明が終わらないうちに、さらにヒートアップした美和の声があがった。
「大体、いつも自分が正しい、間違ったことをしていないっていう態度
なんとかならないの? それじゃ、いつも相手が悪いってことじゃない。
それって、派遣とか正社員とかの問題じゃなくて、人間性の問題でしょ?」


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