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16話 派遣社員


「リーダー、サインをお願いします」
目の前に立った女性の声に、もう17時なのか、と気づいた。
声の主は、木戸圭子。プロジェクトに参加してもらっているベテランだ。
業界経験豊富で頼りになるのだが、派遣社員のため滅多に残業はしない。
彼女は毎日出勤時間と退勤時間を所定の用紙に書き入れ、
私のサインをもらい月に2回派遣会社にFAXをして、
派遣会社に勤怠報告をする。
つまり、彼女がサインを求めにくるということは、今日も「定時」なのだ。

「そうだ、木戸さん。研究所のデータが今日出ると聞いていたけれど、
もう、木戸さんのところには届いてます?」
今日彼女のところに届くデータの中には、
たしか急ぎで資料に落としこまないといけないものもあったはずだった。
「はい。ちょうど5分ほど前にメールで届きましたので、
急ぎの分については、梶原さんに引き継いでお願いしておきました」
「そうですか。ありがとうございました。お疲れ様でした」

サインをした紙を机にしまうと、圭子はすぐさまオフィスを後にした。
いつもながらに素早い。
木戸圭子が帰ったと思ったら、次に目の前にきたのは栄一だった。
「斉木リーダー、木戸さん知りません? 
ちょっとこのデータのことで、聞きたいことがあったんだけど」


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