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BLUE×BLUE-1

「芳賀さん、これなんですけど」

仕事の最中、公の立場で恋人の名を呼ぶ時、
緊張しない女なんているんだろうか。

「はい」と答えた弘幸は……芳賀弘幸はわたしの肩越しに、
わざとらしく顔を近づけて書類を覗き込む。

とはいっても彼の場合、他の女性にも同じことをするから、
わたしにもやらないわけにはいかないのだろう。
  「文書に修正がある時は、捨て印が必要です。
 あさってまでに、客先からもらって来てください」

「えー、またハンコ押させるんですか? 怒られちゃうなあ」
「契約の時にちゃんと全ての印をもらうと、面倒がなくていいですよ」

「わかりました。気をつけます」

そういうと29歳のわたしの3つ年下の恋人は……いや婚約者だ。
一瞬耳元で「与理子、おぼえてろよ。じゃあ今日はアノ店で」
と笑いながら囁き、書類を受け取って大股で自分の席に帰っていった。

わたしは当然ポーカーフェイスをくずさなかったが、
弘幸のことが死ぬほど好きだと感じていた。

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