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21話 想われている?


藤木さんは、遠くを見るように目を細めた。
「もしかしたら、今日みたいな飲み会とか、
局ですれ違っていたのかもね」
すれ違ってなんかいない、と思う。
どこかでこの目を見ていたら、自然と引きよせられていたはず。
「それって、藤木さんも私に会ったことがある、
と思ったってことですか?」
藤木さんもブパサニワットを感じていたの?
期待とともに、鼓動が高まる。

「いや」と藤木さんは首を横にふった。
やっぱり彼は、ブパサニワットを感じてはいなかったみたい。
そうだろうとは思っていたけれど、ちょっとガッカリ。
失望を隠すため、ドライマティーニに口をつけた私に、彼が続けた。
「もし、一之瀬さんに会ってたら、忘れるわけないから」

——それって、どういう意味?
私の存在は、藤木さんにとって特別だってこと?
それとも、この薄暗いバーにきたせいで、口のうまい男に変身したとか?
藤木さんの目はいつも通りクールで、だけど真剣そうで。
このまま見つめられ続けたら、想われているとカン違いしてしまいそう。
それとも、こんな風に隠れ家に連れてきてくれるくらいなんだから、
少しは私のことを想ってくれているの?
【登場人物】
一之瀬莉緒(28) 化粧品会社の広報。ニューイヤーのカウントダウンのため、1人NYを訪れ……。
藤木和哉(29) テレビ局のディレクター。NYのカウントダウンで莉緒と知り合う。
古川渉(29) 食品会社の広報。仕事がらみで莉緒と知り合いに。時々食事に行く仲。
奥村千紘(52) バー「ブパサニワット」のオーナー。
大谷美紀恵(33) 莉緒の上司。

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