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その大きな手で-10

上司はそこで、煙草に火をつけておいしそうに吸い込んだ。
ケムい。でも、今はそういう顔もできない。

「本当は新人は社内で経験積んでから外へ出すべきなんだけど、
 そんな内向きの仕事は、今は会社にないからね」

上司はそういって、吸っていた煙草を灰皿に押し付けた。
嫌な臭いが、会議室に広がっていく。

「どこかでそういう人材に経験積ませる現場は確保しないと。
 まあ、嘘も方便というか、業界の暗黙のルールというか……」

煙草を消したばかりなのに、
上司はまた新しく一本、火をつけた。

「キミもさ、自分の考え方や気持ちを主張するのもいいけど、
 そういう裏の事情も、慮った方がいいと思うよ」

さらに上司はこちらにグイッと顔を近づけてきていう。
「もっと大人になってくれないと」

「あとね、新人君ともやっと連絡がとれたんだけれど、
 やっぱりどこか、自分が人間扱いされていなって
 そういう風に感じたらしい」

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