お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

その大きな手で-2

そもそも、わたしがこんなにだらしなくなってしまったのは、
仕事で新人なんかに、してやられたせいなのだ。

プログラマーになって3年。この春やっとSEとして、
チームのチーフとなった。
それがたった2人のチームだとしても、
3カ月で終わる短気の契約だとしても、気になんてならなかった。
  だから3月の終わり、それまでのチームが解散するため、
最後の打ち上げとして開いた花見の席で、
みんなが祝ってくれた時は、最高の気分だったのに……。

ただ、確かにいわれてはいた。
「晴香ちゃんキツいから、新人にあまり突っ込み入れるなよ」
「できるだけ、ほめて伸ばせよ。若い子泣かしちゃダメだぞ」

その時の満開寸前の桜は、薄紅色の花の輪郭を
宵闇にくっきりと際立たせていた。
散りそうに見えて、一枚の花びらも落としはしなかった。

わたしだって何があっても負けない、めげない、
そんな気持ちでいたのに。

でも新人は、社会人として最低限のことができなかったのだ。
「ちゃんと挨拶しろ。時間までには会社に来い」

お役立ち情報[PR]