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風の向こうへ-9

……いけない。もう、このことを考えるのは止めなくては。
でもどうしたら、真治と別れたことを思い出さないように出来るのだろう。

せめて自分の中に、別れの理由になるような欠点が見当たれば、
まだ納得もできるのだけれど。でもそれは、たぶん永遠に解らないのだ。

思わず空を見上げると、青、というより水色に近かった。

ふうっと大きく息を吐き出すと、だんだん足を重たく感じるようになってきた。
走り初めてから約30分。たしかに体の動きが鈍くなってもおかしくない頃だ。

自分の意思でというより体が勝手にペースを落として、わたしは歩き始めた。

すると心臓の音以外の呼吸音や足音や風を切る音が消えて、
ひどく静かになったように感じる。

ベンチに座って目を閉じると、まぶたの裏が真っ赤な感じがした。

遠く小鳥の鳴き声を聞きながら、こんな時は一人もいいなと思った。
思えば真治と別れてから、あまり友だちにも会っていない。

本当はこんな時期こそ、誰かと騒いた方がいいのかもしれないけれど、
何だか面倒くさくて、一人の時間を選んでしまった。

でも今はそれも悪くなかったな、と思えてくる。

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