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風の向こうへ-8

この公園では、思ったよりずっと多くのランナーがいた。

上下の揺れが激しく消耗しやすい走りの壮年の男性。
意志の強そうな学生風の若者。競歩をしているおばあちゃん。

誰かと連れ立って走る人はごく少なく、みんな一人で、
まるで一人になることが目標のように、黙々と足を運んでいる。

たった一人で自分の精神や肉体と向き合う人が大勢いるのは、
今の自分にはとても心強い。

ずっと走っていると、息が切れて、何度か休みたいと感じることがある。

それでも「もうちょっとだけ、あとほんの少し」と、
わずかにペースを落として、なおも走り続けてる。

そうすると不思議な幸福感が訪れる。

出勤の日は仕事のことを考えて、ある程度は走る量もセーブするが、
今日は後のことは何も考えなくてよいので、好きなだけ走れるのだ。

このままずっと、走り続けていられたら、どんなによいだろう。
だけど体は微妙に心を裏切って、なかなか思い通りにはならない。

ずっと付き合ってきた、真治がそうだったように。

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