お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

57話 予期せぬ質問


慶介さんに会うときはいつも、ワンピースやスカートだった。
だけど今日は、ブラキッシュカラーのパンツをはいた。
いつもと違う私を見せたい。
甘い嘘なんて通じない、ビターな一面もあるってことを。

カシミアのコートを羽織って、外へ出た。
慶介さんは、車のドアにもたれて立っていた。
「お待たせ」
「よかった、来てくれて」
寒さで青ざめていた彼の表情が、ホッとしたようにゆるんだ。
やっぱり慶介さんは、私を好きなんだと思う。
——でも。
これまでも私は、彼に好かれている実感があった。
それでも不安になったり、傷ついたりしたのは、
彼が好きなのが「私だけ」じゃなかったからだ。

走る車の中で、彼はメールの内容と同じ言い訳をした。
「前の彼女のメイクセット、ちゃんと捨てたよ。誤解させてごめん」
彼の顔を見ずに、冷たく言い返す。
「じゃあ、バスルームに長い髪の毛が落ちていたのは、どうして?」
とっさに、彼は息を止めた。
予期していなかった質問にあせっている、
そんな気配が伝わってきた。

お役立ち情報[PR]