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38話 季節外れの海岸で


ハワイに行ったことがある。グアムにも行った。
だけど、こんなに見渡す限りのオーシャンビューの部屋は初めてだった。
「最高にステキ……連れてきてくれてありがとう」
慶介さんはいつも通り満足そうにほほ笑み、
「風が冷たいね」と言って、後ろから私を抱きしめた。
背中に彼のぬくもりが広がる。

こうして、ステキなできごとがひとつ増えるたびに、
彼に想われているんだ、という安心感が増えてくる。
そしてどんどん、私の愛情も大きくなっていく。

夕方、傾いた太陽が空をオレンジ色に染め上げる頃、
私たちは砂浜を歩いた。
季節外れの海は人けがない。淋しいくらいの静けさだ。
ときどき、大型犬を散歩させる人たちとすれ違う。

「どうして、ドライブに葉山を選んだの?」と私は尋ねた。
「海が見たかったんだ。今年の夏は、海に行く余裕がなかったから」
「仕事、そんなに大変なのに、やめたいとは思わないの?」
彼は驚いたように立ち止まった。
「思わないよ。大変な分、得られるものも大きいからね」
西日が彼の顔に陰影を作る。
ひきしまった表情が頼もしくて、私は甘えるように彼の肩にもたれた。

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