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35話 特別な人


迎えに現れたボーイに、
慶介さんは「レストランを予約しています」と告げた。
アンティークのライトやグラスが品よく飾られたエントランスを抜け、
奥にあるレストランに足を踏み入れると、息を飲んだ。
——真っ青な海が、正面の窓いっぱいに広がっている。

眺めのいい窓際の席に通されたのは、
彼が予約をしてくれていたからだろう。
「素敵なところね」
うっとりとため息が出た。
私が喜ぶ様子を見て、彼は満足そうに目尻を下げた。
この笑顔、前にも見たことがある。
プラネタリウムバーで、私が驚いたときだ。
「慶介さんって、人を喜ばせるのが好きでしょ?」と尋ねると、
「違うよ」
彼は急にまじめな顔をした。
「好きな人を喜ばせるのが好きなんだ。『誰でも』じゃない」

心の中に、心地いい海風が吹き込んでくるような気がした。
私の心はいつのまにか、彼の言葉とときめきでいっぱいになっている。

そのとき、小さな振動音が聞こえた。
慶介さんがポケットから携帯を取り出した。

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