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19話 心の中の薔薇


リョーコはいつもゴールを決めて、最短距離でたどり着く方法を探す。
仕事も恋も、まるでゲームをクリアするように、前へと突き進んでいく。
私は違う。
仕事は、似たような事務作業のくり返しで、ゴールなんてない。
ただ、ミスのないことを目標にしている。
それで業務がスムーズに進んで、みんなの役に立てればそれでいい。
無理にステップアップを目指すより、
目の前の一つひとつを大切に積み重ねていって、
気付いたら次のステージにたどり着いていた、
そういうのが性にあっている。
恋愛もそう。
キスの次のステップには、
自然にゆっくり、時間をかけてたどり着きたい。

次の土曜日、白金の大きな病院の近くの蕎麦屋で、慶介さんと隣り合った。
今日の慶介さんは、前回よりもハイテンションというか機嫌がいい。
「2週間ぶりに取れた休日だからね。
本当に好きな店に来たかったんだ。
ここは蕎麦だけじゃなく、料理もうまいよ」
本当に好きな店——。
じゃあ今、隣にいる私は? 本当に好きな相手なの?
心の中で問いかけても、答えは返ってこない。
突然、慶介さんがぽつりと言った。
「メール、嬉しかった」
心の中に1輪の薔薇が咲いた、そんな気持ちになった。

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