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10話 完璧なデート


食事をしながら、最近、プリザーブドフラワーに凝っていることを話した。
慶介さんは学生時代テニスをしていたけれど、ここしばらく仕事が忙しくて、
体を動かす機会がないと嘆いていた。
あっという間に時間が経ち、私たちはレストランを出た。
会計はいつの間にか慶介さんが済ませていた。
スマートなエスコート、楽しい会話、デートとしては完璧だ。
テラスを通り、エレベーターに乗る。
扉が閉じた瞬間、慶介さんが私の腕を引いた。
抱き寄せられ、唇が重なった。

——やっぱり、キスをするならこのタイミングだよね。
この状況を冷静に見ている自分がいる。
そのくせ、心臓は激しく脈打っていた。まるで、初めてのキスみたいに。

エレベーターから降りると、慶介さんは「送るよ」と言った。
ぎこちない空気が流れる。お互い無言のまま、駅まで歩いた。
「じゃあ、気をつけて」と改札で見送られ、黙ってうなずく。
電車に乗って1人になると、緊張がとけてホッとした。
そのとき、メールが届いた。たった1行、慶介さんから——。
『会えて嬉しかった』
心が高い熱を帯びていくのを感じて、私は唇に指を当てた。

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