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6話 本当に好きなら


タクシーが走り出すと、リョーコが言った。
「慶介さんと食事、行ってくれば?」
やっぱり、さっきのやりとりは聞こえていたらしい。
「でもリョーコ、慶介さんのこと気に入ってるんじゃないの?
だったら、私……」
リョーコに嫌な思いをさせてまで、慶介さんと食事したいとは思わない。
「私に遠慮なんてしなくていいよー」とリョーコは軽く笑った。
「私にはBFが3人いるんだから。これ以上、増やす必要ないし」
「でも、それって……。3人もいるってことは、
本当に好きな人はいないってことでしょ」

リョーコは黙って、窓の外に目をやった。
真夜中の青山は静かで、店の明かりよりも信号機の色が目立つ。
少しして、言いたいことの整理がついたのか、口を開いた。
「もし私が本気で好きになれる人が現れたら、
そのときは茜に言うし、絶対に譲らない。
だけど慶介さんは違う。だから、茜がいいと思うなら、がんばって」
リョーコの言葉を聞いて、一生付き合いたい親友だと改めて思った。
だけど、私だって慶介さんを本気で好きになれるかなんて、分からない。
さっきは確かにときめいたけど、その感情はほんの一瞬のこと。
私は、恋の仕方を忘れている——きっと、あの秋の日から。

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