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4話 人生の基準


慶介さんと修也さんは、外資系の金融会社で働いているという。
「いつも忙しくて、電車で帰れることの方が少ないよ。
終わるのが2時、3時なんて当たり前」
と言う慶介さんに、
「じゃあ、その分、朝もゆっくり?」とリョーコが尋ねる。
その口調と視線から察するに、リョーコは慶介さんを気に入っているらしい。
「それがそうでもないんだよな。明日も朝8時からNYと電話会議」
私は驚いた。「土曜日なのに!?」
「うん。今年に入って土曜に休めたのは、たったの3日」
「だったら、早く帰って寝ればいいのに」
腕時計を見ると、深夜1時を過ぎている。

慶介さんは「分かってる」と言いたげにうなずいた。
「だけどさ、睡眠はたっぷりとれるけど辛いことだらけの人生と、
寝不足だけど楽しいことがある人生、どっちがいい?」
辛いことだらけ……という言葉が出るほど、彼の仕事は過酷らしい。
私は自分の状況に置き換えて考えた。
辛いことはないけど、特に幸せなこともない退屈な人生と、
辛いこともあるけど、ときめく恋がある人生と、どっちがいいか。

恋がしたい——また、強く思った。
そして、「何もないより、楽しいことがあった方がいいよね」と答えた。

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