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2話 恋がしたい


クラブなんて、六本木や西麻布で2、3度行ったことがあるくらい。
正直、うるさいだけで落ち着かなかった。
だけど、この青山のクラブに入ると、ときめいた。
通路を飾るひび割れた鏡、フロアを照らすピンク色のシャンデリア。
洗練されたゴージャスな空間で楽しむ大人たち。その半分は外国人だ。
ここにいるだけで、映画の世界に迷い込んだような気分になる。

奥のカウンターでシャンパンを頼み、手すりにもたれて周りを眺めた。
シャンデリアの灯りはロマンティックで、そして怪しげ。
その光を見つめるうちに、「恋がしたい」という気持ちが湧き上がってきた。
恋をすると、毎日の色が変わる。
まるで、部屋の照明を変えたみたいに、
何もかもがロマンティックで、切ない色に変わる。
——恋がしたい。
映画みたいに、ステキな恋じゃなくていい。
いつもと同じ毎日が、ほんの少し色づくような恋をしたい。
もう一度、あのころみたいに……。

そんなことを思いながら、ぼんやりフロアを眺めていると、
2人組みの男性が近付いてきた。
「よく来るの?」と男の1人が微笑んだ。

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