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1話 2シーズン前の恋


蒸し暑い夜。
エアコンが効いたタクシーの中で、携帯用のフレグランスをひと吹きした。
私は会社では香水をつけない。
食事のときも遠慮する。
たいていは、レストランを出て次のバーへと向かう前の化粧室で、
首筋にほんの少し上品につける。
特別なことが起きる……そんな予感のする夜だけに。

携帯用ボトルの中身が2シーズン前のものだと気づいて、自分に呆れた。
もう、2年も恋をしていない——。
「そろそろ茜も、彼氏くらい作ったら?」
ファンデーションを直しながら、リョーコが言った。
リョーコは大学時代からの親友。
「BFと貯金は多い方がいい」というリョーコは、
ITコンサルタントという忙しい仕事をこなしながら、
なんと3人の恋人と付き合っている。
独り身が長い私と、遊び人のリョーコを足して割ったら、
バランスのいい女性になるのに、と思う。

ブルーノートの裏でタクシーを降りた。
ここは、リョーコがオススメする「大人のクラブ」。

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