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星影のビート-3

ロックフェスは山地で開かれるので、夜はかなり冷える。
もう慣れっこのわたしたちは、雨具兼用のゴアテックスを着込み、
テントの外で、今日見たステージを熱く語り合った。

永遠に語り続けたい、とすら思うけれど、
フェスの初日から飛ばすと、最終日まで体力が持たない。
どのあたりで切り上げるかを気にしだす頃、
いつの間にか輪から抜け出たイチが、みんなを呼んだ。

テントの脇には、フィールドスコープが空に向けてセットされている。
「見慣れてると思うけど」

そこにはクレーターまではっきり見える月が、眩しく輝いていた。
月には一滴の水もないはずなのに、信じられないほど瑞々しい。

今ここで放たれる光は、涙が出そうなほど綺麗で、
みんなで争って、スコープを覗き込んだ。

「あと土星。この程度のレンズでも、輪が見えるんだ」

さすがに模様までは無理らしく、月と同じ乳白色に輝く土星は、
だけどたしかに輪をつけて、可愛らしく夜空に浮かんでいた。

「何で星を見ると、こんなに感動するのかな」
イチは聞いても答えず、昼間と同じはにかんで笑っていた。

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