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guest80「姉の結婚」



「3月31日にしたんだって」
バタバタと玄関を出ようとしていたいつもと同じ朝、
母が私を呼びとめるように言った。
「なにが?」
私は時計を見ながら母に言う。
「お姉ちゃんの結婚式」
……その話だと思った。
母が玄関で私を呼びとめるのは、
いつも言いづらい話をするときだから。
「そう。行ってきます」

母の作戦はよくできていると思う。
最後に母がこの手を使ったのは、
シロが病院で余命3カ月だと言われたとき。
“どうして?”“なんで?”
そんな言葉を母に投げかける時間なんて、
その日もなかった。

ショックだったけれど、
学校から帰ってくる頃には
「シロも充分長生きしたしな」なんて、
しっかり心の整理がついていたものだ。

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