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guest34「ズルズルの恋」


はじめて人を好きになったのは小学校5年生のときだった。
相手は「ガオ」というあだ名の男の子。
ガオは、足は速いけど別にスポーツ万能っていうわけじゃなく、
勉強は普通にできるけど秀才っていうわけじゃないし、
じっくりしゃべると面白いけど、
クラスの人気者っていうわけじゃない。
他の誰にも注目されてない、どちらかというと地味な奴だった。

いつの間にか身長を抜かされていた。
「こいつ、こんなに大きかったっけ?」
ただそれだけのことが、好きになったきっかけだった。
初恋は小学校を卒業するまで続いた。
中学が離れ離れになってしまうことが悲しくて、私は泣いた。
きっと彼よりも好きになれる人は現れないだろうと思って、私は泣いた。

しかし、中学に入ると好きな人はあっけなくできた。
しかも何人も。
サッカー部の部長、応援団長、クラスのひょうきん者……。
私も、まわりの友人たちも、片思いに夢中だった。
「好きな人なんていない」と言い張るクラスメイトを、
またまたー、そんな照れちゃって! と、全然信じなかった。

好きな人ができるたび、学校カバンの内側にそっと刺繍をした。
刺繍の名前はどんどん増えていって、
卒業の頃にはすっかり浮気なカバンが出来上がっていた。
全力で恋に力を注いでいた頃だった。

あのカバンはどこにしまったんだろう。
中学卒業から10年がたち、
私の恋する力はカバンと一緒にいつの間にか消えうせていた。

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