お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

guest33「Bigな幸せ」


どんよりと曇った日も、雨降りの日だって、最高の一日になる。
それが休日っていうものだ。
……ただしくは、彼女と過ごす休日っていうものだ。

まぁ、そう言うと少々ドラマチックに聞こえるかもしれない。
実際に俺たちが今いるのは、お洒落なオープンカフェでもなければ、
2人で目を見詰め合って時間を過ごしているわけでもない。
俺たちはかろうじて丸の内と呼ばれる場所にある喫茶店で、
愛を囁くわけでもなく、ただ向かい合って座っている。
彼女はさっき買ったばかりの雑誌を開き、
僕はさっき買ったデジカメに、無駄に指紋をつけている。
この「天国」という喫茶店は、俺たちのお気に入りの場所で、
こんな時間の過ごし方を、俺たちは気に入っているわけだけど。

窓の外を腕を組んだカップルが通り過ぎる。
ふと店内の俺たちに目を向けた女が、
興味なさそうにすぐに目をそらす。
「ほら、倦怠期のカップルよ」
きっとそう思ったに違いない。……ホットケ。

特に話すこともなくて、彼女が髪を切っても気づかない。
こんな俺たちの状態を、人は倦怠期と呼ぶのだろうか。

5年後はお前らもこうなるんだよ。
オレはそのカップルの後姿に向かって毒づいた。
5年後は俺たちのほうが幸せでいる。……と、思う。

目の前のコーヒーは、すっかり冷めてしまっていた。
「すいません、キリマンジャロコーヒーおかわり」
マスターは、返事の代わりに笑顔を向けた。
彼女は、雑誌から目を離さない。

お役立ち情報[PR]