お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

小さな灯-12

よその部署の人は「こんな当然のこと」と驚いたろう。
だがウチの部署では……わたしは、みんなからかなり嫌われた。
女性営業職の中には「北沢さんは正しい」といってくれた人もいたけれど。

今は多くの営業マンが、無言で机に書類を置いていくようになった。
木崎さんなど廊下ですれ違うと、あからさまに「ちっ」と舌打ちをする。

わたしのしたことは、本当にベストだったのか。
「おかげで自腹になることも多くて、参るけどね」
裕道もいってたっけ。もっと事前に何かすればよかったかな。

いまさら自信がなくなってしまった。まるで後味がよくない。

そうして勝ち取った残業なしの時間に、わたしは家路につく。
オフィスを出る時、背中に視線が痛かった。

「ただいまー。あれ、ヒロミチ、今日早いね」
「なんだ、日向子ちゃんこそ。ま、紅茶煎れるからそこに座って」

テーブルの上には、ケーキの箱……あ、今日わたしの誕生日だ。
ヤなことばかりで、自分の誕生日まで忘れちゃうなんて。

                            (おわり)

お役立ち情報[PR]