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小さな灯-9

「それでは困るんです。こんな伝票の上げ方が許されるの、
 自動車部門だけですよ」

「ウチはそれでいいんだよっ。事務方は営業の邪魔をするな!!」
 
一瞬、木崎さんの声に、窓ガラスがビビッと共鳴した気がする。
全身が、小さくググッと縮まったような気がした。
しばらく、息をするのも忘れてしまったほどだ。

「それでもダメです」と伝票をつき返そうとした時には、
木崎さんはもう、事務ブースを出ていった後だった。

「あの……すみません、わたしが余計なお願いしたから」
小口費用精算担当の派遣さんが、すまなそうに頭を下げている。

「そんな、悪いのは向こうなんだから」
にっこり笑ったつもりだが、うまく笑顔がつくれたろうか。

結局その日も、木崎さんの伝票のおかげで帰宅は21時をまわった。

彼に怒鳴られたことは、やはりこたえた。

最初は恐さと緊張で何も感じなかったが、残業中、退社時、
そして駅を降りて歩きながらと、しだいに怒りがよみがえってくる。
家に帰り着く頃には、怒りは最高潮に達していた。

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