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小さな灯-1

「ひーなーこーちゃん、起きてーっ」
淡い温もりに包まれた、最高に幸せな時間が終わりを告げた。
同居する恋人が、寝ていたわたしのお布団を引きはがしたから。
「やめてよ、この人でなし!」

「もう10時になるよ。いくらお休みでも、起きないと」
そういいながら、彼は掛け布団を小脇に抱え、
もう片方の手で敷き布団をつかむと、ぐいっと上に引っ張っぱった。

わたしはゴロゴロと、畳の上に転がり出る。
「うわーん、ヒロミチのバカー」
「だめだめ、もうお腹ペコペコだよ。早く朝ご飯作って」
裕道はそう捨て台詞を残すと、わたしの布団を持ってベランダに出る。

わたしはあきらめて台所へ行き、目玉焼きを作り出す。
すると裕道がベランダから戻って、コーヒーを沸かしはじめる。

「やっぱね。ふかふかの布団で寝るのが、一番の幸せだから」
「えー、わたしの一番の幸せは『休みの日に昼まで寝る』なのに」
「日向子ちゃんの幸せは、雨の日にゆっくりどうぞ」

裕道が微笑むと、コーヒーの香りが台所いっぱいに広がった。

そしてこの週末も、トースト、カフェオレ、目玉焼きにプチサラダの、
まったく代わり映えしないブランチが、食卓に並べられた。

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