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永遠未満-11

会話の中に出てきたから、中野くんの家のおおよその住所と、
マンション名はわかっていた。
あとは会社のパソコンで、こっそりと地図を確認すれば終わり。

別に何か、特別なことがしたいわけじゃない。
ひとことふたこと、言葉をかわすだけでも。
いえ、遠くからちょっと、顔を見るだけでもいい。

いつしかわたしは、中野くんの住むマンションの
エントランス前の木蔭に、じっとりとたたずんでいた。

当然、多忙な中野くんがそんなに早く帰るはずもない。
わたしは木蔭で、やぶ蚊に食われながらひたすら待った。

だけど23時を少し過ぎた頃。気分がすっと醒めてきた。
「やだ、何かバカみたい」と一人笑って帰ろうと木蔭から出ると、
すぐ前に、中野くんが通りかかった。

そして、何秒かの沈黙。
「……よかったら、オレのウチへ来る?」

そういった中野くんの、複雑な笑顔。
困惑と、優越感と、わずかな喜びと、あからさまな欲望。

わたしは耐えられずに、大きく首を横に振ると走って逃げた。

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