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永遠未満-10

それから1ヵ月半後。中野くんに再びの出張があるようだ。
最近はかなり忙しいらしい。

アイリッシュパブで軽く飲みつつ待ち合わせたが、
「この後、自宅で会議資料をつくらなくっちゃ」ということで。
フィッシュアンドチップスで、少しだけ話をした。

そしてチケットを渡すと、中野くんはくっとエールを飲み干し、
「じゃあ!」と手を振り、店を出て雑踏に消えていった。

……もしかすると、もう会えないのかもしれない。
今度からはチケットも、郵送した方がいいのかも。

そう考えると翌日から、心も身体も石を詰めたように重くなった。
会社の先輩たちからも「どうしたの?」と心配される始末。

もう何もかも億劫で、できれば会社も行きたくない。
それでもちゃんと毎日、通勤の専用バスに揺られているから不思議だ。

そんなある日の週末。
たぶんわたしは、もうひどく思考力が落ちていたのだと思う。

会社のバスを降りると、家とは反対方向へ走る電車に乗り込んだ。
窓の外には、見知らぬ街の灯が広がる。
薄情そうな、誘うような、たくさんの灯火が光を投げていた。

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