お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

永遠未満-1

通勤電車を降りると、ターミナル隅のバス停に並ぶ。
看板には行き先の表示はない。ただ会社のマークがあるだけだ。
「ああ、高橋さんじゃないか。おはよう!」

「おはようございます」といいつつ、どなただか記憶がない。
この列に並ぶのだから、会社の人には違いないはずだけど。

「おとうさん、元気?」
「はい、おかげさまでたいへん健康です」
「それは何より。高橋部長にはとてもお世話になったから」

挨拶された方は中里さんといって、やはり昔、父の部下だった方だ。
まだわたしが小さい頃、会社の運動会では膝にも乗せてくれたらしい。
今は九州の事業所勤務で、今日は出張で来られたとのこと。

創業が明治時代に遡る大企業の子会社で父は、
部長職を勤め上げた。
そしてわたしは父のコネで、そのまた子会社に勤めている。
だからこういう出会いも、割と多い。

ポツポツとお話しているうち、バスが来たのでご一緒する。
中ではわたしは、決して座らないことに決めている。
ほとんどの人が自分より年上だし、やはり人目というものがある。
つり革につかまり、座っている中里さんに耳を近づけ話を聞く。

その間もバスは郊外に向けて速度を増し、勤務先の工場地域へ急ぐ

お役立ち情報[PR]