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冷めたピザのいただき方-4

「きゃーっ、ひさしぶり。元気だった?」
週末、土曜日の昼間、玄関を開けて由布子を迎えたとたん、
思わずふたりして、悲鳴のような声が出てしまった。

日ごろ決して自分を偽ってなんかいないのに、
由布子に会うと「本当の自分」を
取り戻した気になってしまう。

さっそく、おみやげにもらったワインを冷蔵庫にしまうと、
わたしが焼いたシフォンケーキと紅茶でもてなしをする。

「ねえねえ、彼ってどんな人なの?」  「えーっ、いきなりその話?」
でも由布子は照れながらも、うれしそうに話し出す。

「あのね、ある時、本屋さんをうろうろしてたら、  いきなり
『この本はどこにあります?』ってメモを見せられて」  「それで?」
「案内したら『ください』っていうから 『わたし店員じゃないんです』って答えたの」

保育士の由布子は、その日たまたまエプロンをつけたまま帰宅して、
書店で店員さんに間違えられたらしい。

「その後で『おわびにお茶でも』って誘われたのが、はじまりなの」

いかにも彼女らしい、まるでドラマのような出会いだ。
それにしても由布子、見ない間にとてもキレイになったな。

「環は、誰か好きな人いないの?」
いないって、言おう。だって、わたしの恋はあまりにも小さすぎる。

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