お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

23話 恋人がいない人



奈緒は、柿本がコインを入れる瞬間をチラリと見た。
本当は恋人がいる——『NO』。
どうやら恋人がいない唯一の男性は、柿本らしい。
柿本が着ている白いシャツは、襟も袖口も汚れ一つない真っ白。
「柿本さんって、清潔感がありますよね」
奈緒が話しかけると、柿本は嬉しそうに答えた。
「ありがとう。奈緒さんも、清潔そうな感じがするよ」
そして、淡いピンクのマニキュアを塗った奈緒の手を取った。
「綺麗な手だね」
男の手を見る女はHだと、雑誌に書いてあった。
女の手を見る男は、どうなんだろう?
奈緒は、柿本に触れられた指先が、熱くなっていくのを感じていた。
「良かったら、携帯のアドレス、教えてくれる?」
柿本に訊かれ、奈緒は頷いた。

帰り道、奈緒と柿本だけが、幸せそうに並んで歩いている。
まどかと桃子は、残りの2人と会話もせずに、駅へ向かっていた。
その時、桃子は、向かい側の道に優一郎の姿を見つけた。
優一郎の腕には女性がよりかかっている。
(嘘でしょ!?)桃子は心臓が止まりそうになった。

お役立ち情報[PR]