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13話 緊張しすぎて



世田谷にある磯貝の自宅は、白をベースにしたアシンメトリーな建物だった。
玄関にあるガラスのオブジェが、冷ややかな印象を与える。
リビングのソファに座った奈緒は、緊張のあまり、胃の痛みを感じていた。
「もうちょっと飲める? 秘蔵の日本酒があるんだよ」
キッチンから、磯貝が声をかける。
(お酒の力を借りれば、勢いで何とかなるかもしれない)と思った奈緒は、
「いただきます」と返事をし、バッグからたばこを取り出した。
奈緒はふだん、たばこを吸わない。
だけど、食後やストレスが溜まった時など、1日に数本程度は吸う。
とにかく気分を落ち着けたい。
「たばこ吸ってもいい?」奈緒は尋ねた。

日本酒を運んできた磯貝が、眉間にシワを寄せた。
「うちは禁煙なんだ。壁紙が黄色くなるとイヤだから」
「あ……ごめんなさい」
奈緒は慌てて、たばこをバッグに戻した。
「奈緒ちゃんって、たばこ吸うんだ……」
磯貝の顔に、微かな軽蔑と落胆の色が浮かぶのを見て、
奈緒は後悔した。
(どうしよう……嫌われちゃったかも)

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