お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

9話 二人のデート



六本木のアマンドで、まどかは待ちくたびれていた。
隣の席で誰かを待っていた派手な女性が、嬉しそうに手を振り、
年配の男性と店を出て行く。ホステスとその客といったところだろうか。
約束の時間を30分も過ぎているのに、森谷からは何の連絡もない。
『お客様がおかけになった電話は、電波の通じないところにいます』
というアナウンスが空しく響くのを聞いて、まどかはイラ立った。

奈緒は、和風創作料理の店にいた。
個室のように仕切られた空間で、磯貝と向かい合い、日本酒で乾杯する。
「建築雑誌で、磯貝さんの作品を見ました。モダンで素敵な建築でした」
奈緒が褒めると、磯貝は素直に喜んだ。
「ありがとう。20代の女性がそんな雑誌を見るなんて……もしかして、
わざわざ僕の作品を探してくれたの?」
「……磯貝さんがどんな建物を作っているのか、知りたかったから」
奈緒が伏せ目がちに言うと、磯貝は少し驚いたような顔をしてから微笑んだ。
その表情を見て、奈緒はホッと胸をなで下ろした。
(桃子のアドバイス通り、好きって匂わせるような表現をして良かったみたい)

アマンドで、まどかが2杯目のアイスココアを飲み干した頃、
まどかの携帯電話のディスプレイが、森谷からの電話を知らせた。

お役立ち情報[PR]