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4話 誘う香り



まどかのグラスに、森谷が赤ワインを注ぐ。
「お仕事が楽しいなんて、ステキですね」
まどかが言うと、森谷は照れたように答えた。
「実は忙しいだけで、楽しいって言っておかないと、
やってられないっていうのが本音かも」
社交的な森谷が恥ずかしそうに笑うのを、まどかは(かわいい!)と思った。

桃子と優一郎は、すっかり二人で話しこんでいる。
「これは、桃子に取られたね」奈緒がまどかに耳打ちした。
しばらくして、奈緒と磯貝がバルセロナのサグラダファミリアの話で
盛り上がっているので、奈緒と森谷は席を替わることにした。
まどかの隣に森谷が座ると、かすかに香水が香ってきた。
爽やかなのに奥深い仄かな甘さが、どこか安心感を誘う香り。
香水をつける男なんて嫌いだと思っていたけれど、
この香りは嫌いじゃない。
「この香水の名前、何ですか?」
「ブルガリブルーだよ」
「いい香りですね」
「ギリシャ神話のオデュッセウスをイメージした香りなんだって」
まどかはオデュッセウスを知らなかったけれど、「へぇ」と頷いた。
そして、森谷の横顔を素敵だと思った。

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