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Good-by ダーリン-6


本命との付き合いに慣れると、他の女に近づいて波風を立てたがる男。
自信がないから。弱いから。
女を嫉妬させて泣かせてないと、愛されている確信が持てない男。
わたしはこの男のために、数え切れない夜を泣き明かしてきた。
「早く松岡のところへ行ってあげて」
「ちぇっ、冷たいな」
純平は一瞬だけ捨て犬のような表情をすると、灯りを反対側に向けて去っていた。

海鳴りの逆巻く夜の深い闇に、わたしは一人残された。
やはり寂しかったが、でもそれ以上に安らかな気分だった。

翌日、在校生たちは不思議な興奮に包まれていた。
今日はサークル恒例、1年生限定出演の芝居があるのだ。
背景は海。舞台は砂浜。演出も練習方法も1年生だけの裁量で決める。
わたしも在校生とともに砂浜に腰をおろして、開演を待った。

やがて芝居が始まったが、セリフはほとんど聞こえてこない。
だがそれもムリはない。みんな波の音にかき消されてしまうのだ。
おまけに海が背景では、どんな魅力的な人間も色あせて見える。
「おらっ、聞こえないぞ!」
つい最近まで高校生だった出演者は、自分たちよりよっぽど通る声の
先輩のヤジにガタガタになっていた。

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