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case23 山田啓一の場合〜彼氏暦8年目

ハッと夜中に目を覚ます。
そんな季節でもないのに、
全身にじんわりと汗がにじんでいる。
また、あの夢を見た。

その夢は、俺が死ぬところからはじまる。
いわゆる死後の世界を夢見ているわけだ。
普段、周りからはアホだ単純だと思われている俺に、
こんな想像力が潜んでいたのかと驚いてしまう。
SF小説でも書いてみようか。
「たかが夢で調子に乗るのが単純なの」
きっとかなこは、こう言って笑うだろう。

かなこは高校時代から8年間付き合っている俺の彼女だ。
彼女は高校を卒業すると同時に、
地元大好きな俺をおいて、東京の大学に進学した。
かなこを東京に取られた。
はじめはそう思っていたけれど、
この微妙な距離が8年間も長続きしている理由なのかもしれない。

俺も高校を卒業してから一人前の自動車整備士になるのに
それなりに忙しかったわけだし。
遠距離恋愛はうまくいかないなんて
いらないアドバイスをくれるやつもいるけれど、
俺たちは上手くいっている……と思う。
盆と正月には、かならず地元に帰ってきてくれるわけだし。
駅のホームで俺を見つけたときには、
いつもうれしそうな表情を見せてくれるわけだし。

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