家事の偏り問題、彼氏の夜遊び……カップル間の問題を乗り越えて結婚できる? 2組のカップルがついに決断【さよならプロポーズ via スペイン後編レビュー】
ABEMAで配信され最終話を迎えた『さよならプロポーズ via スペイン』は、付き合いながらも結婚に踏み出せないカップル2組が、7日間の旅の終わりで「結婚するか」「別れるか」を決断する結婚決断リアリティ番組。数々の恋愛リアリティをレビューしてきたライターの瑞姫さんが、実際に結婚を経験した目線でレビュー! 今回は第5話~最終話分をお送りします。
※本コラムは『さよならプロポーズ via スペイン』最終話までのネタバレを含みます。
付き合いながらも結婚に踏み出せないカップル2組が、7日間の旅の終わりで「結婚するか」「別れるか」を決断する、ABEMAの結婚決断リアリティ番組『さよならプロポーズ via スペイン』がついに、最終回を迎えた。
この旅に参加したのは「結婚したい」アパレル店員のケイゴ(26)と「今は結婚より仕事」のアイブロウサロンを経営するヤワラ(29)、結婚願望がない14歳歳上の会社経営者のタカミツ(43)と、30歳を前に結婚を考えるモデル兼システムエンジニアのタマミ(29)。2組のカップルは結婚か別れか、どちらを決断したのか。
5話から最終話までの後半の見どころと、2組のカップルの共感せずにはいられないさまざまな問題やその乗り越え方にみる恋愛の学びを紹介する。
立ち止まって考えることで気づく“一緒にいるだけでいい”幸せ

(C)AbemaTV, Inc.
2024年にサロンを開業し、朝10時から終電まで働く多忙な日々を送るヤワラを、ケイゴが自身の仕事もしながら家事のほとんどをこなし、翌日のお弁当まで作って献身的にサポートしていたケイゴ。
最初はほとんど本音で話し合ったことがなく、ケイゴが結婚や子どものことを考えていることすらヤワラは知らなかったが、この旅に来たことによって、これまで話してこなかったお互いの本音を話し合えるようになっていた。
一方で、話し合いをすることは、“自分の本音”や“がまんしていて言わなかったけどつらかったこと”があらわになることでもある。実際にヤワラは家事について「俺ばっかり」「家政婦みたいになってる」と言われることにモヤモヤしていたよう。
というのも、ケイゴに支えてもらっていることに対し、“返さなきゃ”と思う反面、“でもどうすればいいんだろう?”と分からなくなっている上に、ケイゴ自身の負担にもなっていることを感じ、「このまま結婚してもいいのか」という不安の一つに繋がっていたよう。
それを聞いたケイゴは自分自身も「甘えてもいいのかな」と無理をしない程度に支えるという選択を考えたられたようで、「ヤワラちゃんだから支えてあげたいと思った」と不満ではなく、純粋な自分の好意でやっていたことだと思い返したようだった。

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この旅で自分の本音や自分が感じている課題を、相手に伝えることが徐々にできるようになっていった二人。
ヤワラが不安に思っていた、ケイゴの貯金ができない部分についても、自らが「小遣い制もいいのかなって」「俺の給料の内訳も知れる」「俺は知られて嫌だとかないから」とヤワラの不安が無いように提案した際も、ヤワラは二つ返事でOKするのではなく、「いきなりお小遣い制にされても疲れちゃうと思うよ」と言い、「まずは自分でやってみたら? 協力はするけど」とお互いのことを思いやって、がまんしないでいられるラインを探すような前向きな話し合いをしていることが感じられたのがとても印象的だった。

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さらに、二年記念日の時に渡せなかったといい、二年半記念日に二人の思い出を詰め込んだ手作りのアルバムと手紙を受け取ったケイゴは「ヤワラを支えたのは、純粋な気持ちだった。でも、自分でも気づかないうちに、どこかで見返りを求めていた」「隣にいられることがすでに幸せなのに」と自分がこの旅で何度もヤワラに伝えていた家事についての部分を改めて反省。

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最終日。ケイゴはいつも送っているという黄色とオレンジの花束をプレゼントし、ヤワラから旅の途中に送られたアルバムの一ページに綴られた“I am who I am today becouse of you(今の私がいるのはあなたのおかげです)”との言葉で、見返りを求めたり、自分の自己満足の部分もあったのかもしれないと考えるきっかけになったと明かす。
その上で改めて「一番は相手を想い合って信頼して話し合うことが大事だと実感した」と語り、ヤワラにプロポーズ。ヤワラも「当たり前にいることが当たり前じゃないって考えさせられた」と言い、「ちゃんと向き合って話すことで、もっと知りたいなって改めて思った」「ケイゴくんの隣にいさせてください」と笑顔で返し、別れではなく、結婚への道を選んだ。
結婚したくない43歳彼氏に、14歳下の彼女が逆プロポーズ

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今まで話し合いをしてこなかったために、お互いの本音を知っていくことが課題となった二人とは対照的に、毎日のようにぶつかっては仲直りを繰り返していたタカミツ&タマミカップル。前半ではタマミが「あなたとは結婚しちゃいけない」「違う人ともっと幸せになれるはず」「後悔しない選択があなたと別れることです」とまで言うほど。

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さらに、後半ではマイホームについて話したタイミングで「(タカミツの描く)マイホームには、タマちゃんはいるのかな?」と聞いたタマミに「それはいるんじゃないですか? 家政婦として(笑)」と最悪なユーモアを交えて答えるシーンや、問題となった婚前契約についても「めんどくせぇからやめようか」と切り上げる場面も。
タマミ、本当になんでそんなにタカミツがいいの!? やめとけよ! と野次を飛ばさずにはいられない場面もあった。
けれど、きっとタマミはそういった視聴者が抱くであろう感情や言葉を今まで散々周囲から言われてきただろうし、本人も自覚しているのだろう。
その上で「他の誰かに置き換えられるのかっていったときに置き換えられない」と、他の“自分を傷つけない良い人との結婚”よりも、まだまだ頼りないけど誰より好きな“タカミツとの結婚”を選びたいのだろうというのが、「人からしたら『えー? そっちでいいの?』って言うかもしれないけど他の人に代わる人っていない」という、タマミの言葉からひしひしと感じられた。

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最後には「タカちゃんのことを幸せにしたいって思うから、私と結婚してください」と逆プロポーズしたタマミ。しかし、これに対し、タカミツは真剣な表情で「たしかに結婚したい気持ちもすごいあるんだけど、やっぱりこんな自分で本当にタマちゃんを幸せにできるのかなっていう気持ちがすごい強くて」と今も拭えきれずにいる結婚への不安を口にする。
さらに、「本当に言ってくれるのはすごくありがたいんだけど、タマちゃんが苦労するんじゃないか」「こんな自由奔放で気ままな俺なんかでいいのかな」と、ネガティブワードがあれよあれよと出てきて止まらないタカミツ。

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この場に置いてまだ決めきれないのか!? とタカミツの決断力の無さに若干イライラしてしまうが、そんな姿を見ても、タマミは「苦労するのは私も分かってる。それでもいい」「だって普通の人じゃつまんないんだもん」と誰でもない“タカミツとの結婚がいい”と伝えるのだった。どれだけ愛情深いんだ……。
その言葉を聞いてもなお、「本当に苦労かけるよ?」「こんな俺だよ?」と何度も確認する歯切れの悪いタカミツだったが、これまでの旅とタマミの苦労を覚悟の上での決断だと改めて感じたタカミツは「全部俺は大好きだからここでお別れしたくないな」と、タマミへの愛と“ここで別れたくない”というシンプルな答えを胸に「俺と結婚してください」とプロポーズし返したのだった。
自分が選んだ人との結婚を正解にする努力

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共感するポイントが多かった今シーズン。特に、ケイゴの家事の部分については、同棲を経験したことのあるカップルなら多くの人が悩んだことがあるのではないだろうか。最初はどれだけ相手のためを思っての自分の好意でも、徐々にそれが当たり前になってしまっていると感じると見返りを求めてしまうのは当然だろう。
しかし、だからこそ、話し合ってお互いが無理をしないラインを探したり、他の部分や気持ちをこまめに伝えたり、それ以外の部分で相手を不安にさせない努力が必要なのだ。

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また、一方で旅の序盤からほぼ終盤まで、正直タマミに対しては「もっといい男いるからやめよ!?」「何がそんなにいいんだ!?」という心の声が止まらなかったが、それは“幸せな結婚ができる可能性が高いか低いか”で見てしまっていた、いち外野の声でしかないのかもしれない。
プロポーズ後のタマミの「幸せにするね」と言う男前な言葉と、「未来のことだから自分たちでくつれる」「『大変だね』って誰かに言われたって、自分たちで変えていけばいいんだよ」という言葉でハッとさせられた。
どうしても、結婚を前にすると「結婚と恋愛は違う」と、恋愛では気にしていなかった安定や価値観に目を向けてしまいがちだ。けれど、タマミのタカミツへの愛を見ていると、どんなに優れた条件や、人から見られた時の幸せな結婚像よりも、どれだけ苦労してでも、“好きな人だから結婚したいと言う気持ち”が、“自分が選んだ人との結婚を正解にする”ということにも繋がるのだろう。
結婚だけが幸せではない時代だからこそ、結婚を選ぶのであれば、幸せになれそうな人と結婚をするのは当然のことだ。だからこそ、「結婚と恋愛は違う」との言葉も生まれたのだろうし、「結婚するのであればこういう部分を見ろ!」という指標だってある。
けれど、結婚だけが幸せでは時代で、どんなに“幸せになれそうな人”と結婚したからといって、幸せになれるとは限らないこともあるのなら、自分が選んだ人との結婚という道を自分で正解に変え続けていく努力をお互いにしていくことが大切なのだと、この番組を通して感じることができた。結婚という新たなスタートになった2組のカップルが、末長く幸せでいられることを願いたい。
『さよならプロポーズ via スペイン』は「ABEMA」で配信中
https://abema.tv/video/title/90-1303
(瑞姫)