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カップルにもたらすメリットは? 相互依存と恋愛の関係性

高見綾(心理カウンセラー)

あなたはパートナーとどんな関係性を築いていきたいですか? 理想のイメージはあっても、実際に付き合ってみるとうまくいかないことも出てきますよね。そこで、よりよい関係性を目指す方のために、「相互依存」という関係性についてご紹介します。相互依存とは何か、相互依存がカップルにもたらすメリット、またその関係性の築き方などについて、ご説明します。相互依存という関係性を知り、よりよいパートナーシップをつくっていきましょう。

相互依存って何?

相互依存とは?

相互依存とは、自立している者同士が、お互いを尊重し、支え合うことができる関係のことを言います。相互依存に至るには、いくつかのステップを踏む必要があります。
人間関係にはプロセスがあり、なんでも人にお世話をしてもらう依存の時期を経て、自分のやり方を確立していく自立の時期に進みます。相互依存は、自立の次のステージです。
付き合いたてのカップルは、相手がとても素敵な人に見えます。いいところばかりが目に入る「あばたもえくぼ」の状態です。しかし、そのうち嫌なところが目につくようになり、お互いの意見が対立してケンカが頻発します。ケンカの時期を越えると、もう何を言っても変わらないという諦めの境地に至り、ついには別れを選択する、というのが一般的なプロセスです。
相互依存は、諦めの境地を乗り越えたときにやってくるステージで、付き合いたてのラブラブだったときよりも、はるかに大きなロマンスが感じられます。お互いの嫌なところも、すべてを知って受け入れた状態です。
無理ながんばりをすることなく、自然体でサポートし合えます。建設的に考えてお互いに納得するようなやり方を見つけていくことができます。お互いの本当の姿をしっかりと見た上で、愛し合っているのが相互依存です。

相互依存と共依存の違い

相互依存とは、心地よい距離感を持った自立している者同士が、尊重し協力し合う関係です。
共依存は、言葉はよく似ていますが、意味は全く異なります。
共依存は、自立していない者同士の組み合わせです。自分の安心のために相手にしがみつき、足を引っ張り合うような関係性です。
共依存でよくある事例としては、束縛し合ったり、アルコール依存症の旦那さんを「私がいないとダメだから」と奥さんが面倒を見る、というような関係性です。そこまでいかなくとも、精神的に不安定な相手の面倒を見ることで、自分の価値を見出したり、「こんなにがんばっているのに」と自分が犠牲をしたことで愛情を表現しようとしたりすることが、共依存によくある心理状態です。
本当は、自分と相手はまったく違う考え方や感じ方をする人間なのに、癒着といって、心理的に相手とくっつきすぎて境目がなくなります。すると相手をひとりの人間として尊重することができずに、愛ではなく、欲で支配するような関係性になります。苦しいけど離れられないという、しんどい状態です。
共依存から抜け出して相互依存になるためには、お互いに離れて精神的に自立することが求められます。

相互依存と恋愛の関係性

相互依存が恋愛にもたらすメリットとは?

大きなメリットとしては、精神的に深く満たされることと、ラブラブ状態が安定して続くことが挙げられます。精神的に自立した人間であっても、依存心は存在します。どちらかが自立で、どちらかが依存という関係性が固定されているカップルだと、片方は与えてもらいたい気持ちが満たされないし、片方は役に立ちたい気持ちが満たされなくなります。
相互依存では、自立と依存の関係性が固定されていないので、いつでも自由に変えることができます。そのため、与えたい気持ちと与えてもらいたい気持ちの両方が満たされて感謝が生まれ、精神的な満足度が高くなります。変化することに抵抗がなくなるので、新しいものを取り入れることに積極的になります。カップルのマンネリというのは、お互いが変化しないことで起こりますが、相互依存ではお互いが常に変化していくことで新鮮さを生み、ロマンスが安定して続いていくこともメリットです。
ただし、どちらか一方がひどく不安定な状態になってしまうと、もう片方も引きずられてしまうことがあるので、お互いの足りない部分を補完し合えるような関係であればなおよいでしょう。

相互依存しているカップルの特徴

精神的に自立している

それぞれがひとりでも楽しく過ごすことができます。一緒にいない時間は、自分の好きなことをして楽しみ、どんなことがあったかなどを話して喜びを分かち合うことができます。

関係性がオープンである

お互いがどうしたら幸せなのかを考えるので、それぞれの交友関係や趣味・仕事の時間などを自由に持つことができます。恋人以外の友人と遊ぶのはダメ、などという閉鎖性はありません。

パートナーを変えようとしない

パートナーを変えたくなるのは、自分が正しくて相手が間違っていると思っているときです。相互依存では相手の個性を受け入れるため、むやみに変えようとはしません。

自分も相手も尊重する

意見がぶつかったときも、安易に批判するのではなく一旦受け入れた上で、自分も相手も納得するようなやり方を考えていくことができます。

主語が「私たちは」になる

自立しているときは「私は」が主語になり、依存しているときは「〇〇さんが」と相手が主語になります。それよりも視点が高くなると、「私たちは」という言い方をするようになります。

理想的な相互依存関係を築くには?

相互依存の関係をつくるためには、自立と依存のバランスをとることが大切です。まずは自分たちが依存のプロセスにいるのか、自立のプロセスにいるのかを見極めることです。ついついまわりへの文句が出てしまうときや、相手が変わってくれたらな、と思っているときは依存状態です。依存からいきなり相互依存にいくことはできないので、自分が変わることで状況を変えるという自立のステージに進むことが必要です。

ケンカをしているような自立カップルの場合は、「私たち」のやり方を建設的に考えようとしてみてください。もともとカップルになったのは、一緒に幸せになるためであるはずです。自分のやり方を押し通すことが、一緒に幸せになるという当初の目的に適っているのかを振り返ってみましょう。また、自立カップルは、もう一度依存を受け入れることがテーマになります。何でも自分でやってきた自負があるので、依存心があるのを認めるのは自分の未熟さに直面するようでハードルが高いものです。ですが、自分には足りないものがあることを認めていけると、感謝が生まれます。そうやって精神的に成熟していくことが相互依存関係の入り口になります。

相互依存は精神的な成熟さがカギ! 安定したロマンスが続くメリットも

相互依存と恋愛の関係性についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。相互依存になるためには、精神的に自立し、自分だけのやり方を手放してお互いの幸せを考えられるような成熟さが必要です。フットワーク軽く、自由に変化していけるようになれば、長く付き合っていても、ロマンスが安定して続くといううれしいご褒美があります。お互いに支え合い愛し合うようなカップルになりたいものですね。参考になりましたら幸いです。

(高見綾)

※画像はイメージです

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