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医師が解説! 「頭痛薬を飲み続けたら効かなくなる」はウソだった!?

阿保義久

一度はじまってしまうと、何もかも手につかなくなってしまう、辛い頭痛の症状。ひどくなる前に対処したいと思っても、「頭痛薬を飲み続けると、効かなくなってしまう」なんてウワサを耳にして、薬に頼らず限界まで我慢してしまう女性もいるのではないでしょうか? では実際のところ、そのウワサの真相とは……。北青山Dクリニック院長の阿保義久先生に、聞いてみました。

「頭痛薬を飲み続けると効かなくなる」は、基本的にはウソ!

薬には“耐性(薬剤に対する抵抗力をもち、効きにくくなること)”ができるものと、そうでないものがあります。そして、結論から先に言うと「一般的な頭痛薬で耐性ができることは基本的にはない」と考えてください。

先ほど述べたとおり、「向精神薬(こうせいしんやく)」「睡眠導入剤」など、なかには耐性ができてしまう薬が頭痛薬以外に存在します。「頭痛薬を飲みすぎると効かなくなる」というウワサが広まった背景には、そんな「薬によって耐性ができる」という知識が頭痛薬にも置き換えられてしまった可能性が挙げられるでしょう。また、頭痛のタイプによっては薬が効かない場合もあります。よって、途中で頭痛の症状が変化し、「今までの薬が効かなくなってしまった」となることもありえるのです。それも、原因のひとつかもしれませんね。

ただし、例外的ですが薬を服用しすぎたことによる「薬物乱用型の頭痛」も存在します。薬局で販売されている総合的な頭痛薬や、医療機関で処方される「片頭痛治療」のための特異的な薬などをあまりに使用しすぎると「薬物乱用型の頭痛」を発症することがあります。推測されるのは、用法・用量以上の薬物乱用により、痛みを感じる“閾値(いきち)【※】”が小さくなり、痛みを感じやすくなってしまうのではないかということ。これを耐性として捉えることもありますが、非常に特殊な例だと言えるでしょう。

【※】閾値……痛みなどの反応を引き起こすのに必要な、最小の刺激の量。

頭痛が悪化するNG行動とは?

ほとんどの人は頭痛のことを「片頭痛」として一緒くたに考えていますが、実は片頭痛を抱えているのは一部の人。一番多いのは、「緊張型の頭痛」だと言われています。両者を見極めるポイントは、慢性的に起こるのが「緊張型の頭痛」、1週間に2回など周期的に起こるのが「片頭痛」だということ。そして、この2つではNG行動に少しちがいがあります。

まず、頭を締めつけられるような痛みが特徴の「緊張型の頭痛」は、目の酷使や同じ姿勢の継続、肩こり、運動不足、体の冷えが原因で発生します。デスクワークの女性は、このような状況に陥りやすいので、緊張型の頭痛を抱えている人が多くいます。

一方でズキン、ズキンと拍動性の痛みが起こる「片頭痛」は、ストレス、疲れ、月経、不規則な生活や睡眠不足、お酒の飲みすぎによって引き起こされます。また、緊張型の頭痛とは対照的に、体を温めることが増悪因子となるので要注意! むしろ片頭痛の場合は、首筋や頭部を冷やすと緩和されることもあります。

頭痛が起こってしまったときの対処法

今までの経験則から、ある程度「緊張型の頭痛」あるいは「片頭痛」なのか判断できる場合は、上記で挙げたNG行動を避けることが対処のカギです。疲れを感じたら、セルフマッサージや軽い体操をして休憩をとることも効果があるかと思います。ただし、激しい片頭痛を感じる場合は体を動かしすぎないよう注意してください。

また、一般的な頭痛薬は、症状を感じたら早期に服用することをオススメします。痛みが激しくなってから服用しても、痛み止めは効きにくくなってしまうためです。落ち着いて“痛みを感じはじめたら”服用するようにしてくださいね。

取材協力/阿保義久(北青山Dクリニック院長)

東京大学医学部卒業。医学部卒業後、外科医となることを選択。2000年に北青山Dクリニックを設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を行うほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドックの実施、生活の質を高めるためのアンチエイジング療法まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。

(取材協力:阿保義久、文:井田愛莉寿/マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年10月22日に公開されたものです

阿保義久

東京大学医学部卒業。医学部卒業後、外科医となることを選択。2000年に北青山Dクリニックを設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を行うほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドックの実施、生活の質を高めるための坑加齢医療・アンチエイジング療法まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。

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